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提案要旨
外国人保育における子どもの発達と文化交流

 

 

猪股 祥(平塚保育園長)

 

 

外国籍の園児に対して、特別の配慮をしなくてはいけないと感じ始めたのは、昭和60年頃のことです。
昭和58年位から1人、2人と外国人の入園児が増え、その後インドシナ難民・中国残留孤児のお孫さんといった方々が年々増加。平成に入ってからは、南アメリカなどからの就労目的の外国人が各地に拡がり、保育所に於ても外国人保育という呼称が一般化するようになりました。
しかし、バブル絶頂期にピークを迎えた南アメリカなどの就労目的の人々も最近では帰国される方が多くなり、現在、在日されている外国人の国籍や在日目的は益々多様になってきたと感じています。
こうした流れの中で保育所の外国人保育も姿を変えてきたと実感する昨今です。街で出会う外国人も多くなり、誰もが外国人というひとくくりの捉え方ではなく、○○さんという個人として接する機会も増え、人々の意識も変わってきました。特に保育園の子ども達は、様々な国のお友達との出会いが多くなるにつれ、外国人として特別視することはなくなりました。外国に行ったり、住んだりする日本人も増え、子ども達の世界はどこにいても多民族の国際社会の中にあるといえそうです。
次に、様々なタイプの仲間が一緒に生活することが一般的となった保育所保育の中で、外国籍の在園児とのかかわりについて特に感じていることを述べたいと思います。

 

(1)国籍、在日目的、在日状況の多様さを知って対応する

 

一言で外国人といってもその状況は多様です。目的によって在日期間、その後の生活、将来の展望などが異なり、保育所としても保育上特別な配慮を要することがでてきます。
私共はすべての面で、外国人としての配慮ではなく、その家庭の保育ニーズとして受けとめたいと考えています。

 

 

 

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